九重火山中心部から放出される熱エネルギーは現在でも数100MWに達し、噴火前の数倍を維持しています。これまでの当研究室による熱や重力変動に関する観測結果からは、火山活動が特に活発化する傾向は認められませんが、放出される熱量は大きく、また一部の火口温度は上昇傾向にあります。このようなことから当研究室では引き続き観測を継続していく予定です。特に、今回の噴火活動にマグマが関与しているかどうかについては、観測陣のなかでも共通の認識が形成されていません。当研究室ではこれまでの観測結果に基づき、7km深程度にある深部マグマとは別に、深さ2、3km深に小規模の浅部マグマが貫入しており、これが今回の噴火活動に関与したのではないかとの仮説を立てております。このマグマは噴火後、上昇した形跡はなく、噴火前にすでに定置されていたのではないかと推定しています。これらの仮説を検証することも、今後の観測の目標にしたいと考えています。現在観測を行っている項目は以下の通りです。

地温観測

赤外熱映像観測

噴気放熱量観測

重力変動観測

地殻変動観測(GPSおよび傾斜計)

地磁気観測

フーリエ赤外分光計による火山ガスの遠隔観測

地震観測

九重硫黄山熱・重力変動観測点配置図

(この地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図をもとに作成しました。)