大分県西部にある九重火山は約20個のドーム状火山体から構成される一大火山群であり、九重火山群とも呼ばれています。主要構成岩石は角閃石安山岩で、典型的な島弧の安山岩質火山です。

 火山活動の開始は今から20-30万年前からとも言われていますが、大規模な火砕流の噴出は今から、約14万年前、約8万年前、約4万年前に起こったと言われています。

 おそらく、最後の火砕流噴出後、地下に存在しているマグマはゆっくりとした冷却過程に入ったのではないかと考えています。

 九重火山下の熱構造解析の結果からは、冷却開始当時は溶融マグマの上面深度は3-4km深であったが、現在では固化が進行し、溶融部分はさらに深くなり、7km深程度ではないかと考えています。

 それを裏付けるように、九重火山下の5km以深には地震波の減衰ゾーンが存在することが知られています。

 九重硫黄山とは、九重火山群の一つ星生山の北東山麓にある多数の噴気・硫気孔群を持った爆裂火口に対してつけられた通称です。

 この九重硫黄山地域は、九州中部地域でもっとも活発な地熱徴候を示す極めて活動的な噴気地域です。